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「定番テーマに王道の解答を! 公務員試験 論文解答ライブラリー」の編集長です。
このブログは、公務員採用試験の論文試験でよく出題されるテーマや、試験種ごとの論文試験の過去問について、模範解答例を紹介しています。
模範解答例を書いた人
旧帝大を卒業後、国家公務員として省庁で人事の仕事をしていました。
現在は退職し、公務員志望者の論文添削や面接指導などをおこなっています。
この記事では、警察官採用試験の論文試験で頻出テーマの模範解答例を紹介します。
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模範解答例は、論文指導のプロが予備校の論文構成に準じて答案を書き、推敲を重ねた良質な答案です。
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【警察官*警視庁】論文模範解答例「①安全・安心な社会」
【警察官*警視庁】論文テーマ
安全・安心な社会を実現するため、警察はどのような取り組みを行う必要があるか、あなたの考えを述べなさい。
【警察官*警視庁】論文模範解答例
①定義
安全・安心な社会とは、住民が日常生活で犯罪に巻き込まれる危険がなく、万が一被害にあった場合でも早期に解決が図られ、身体的・精神的な苦痛から解放される社会である。
②重大性
我が国は国際的に安全な社会といわれており、実際に近年の刑法犯認知件数は減少傾向にある。
しかし、高齢者を標的とした特殊詐欺や、深刻な被害につながる可能性のあるストーカー犯罪、スマートホンの普及により身近になったサイバー犯罪など、犯罪の形態は多様化している。
それゆえ、重大な事件に巻き込まれる子ども・女性・高齢者が後を絶たない。
こうした状況では、住民が安全・安心に暮らすことは難しい。
したがって、安心・安全な社会の実現に向けて、警察は一層の取り組みを行う必要がある。
③解決策
それでは、警察はどのような取り組みを行う必要があるか。
第一に、犯罪の未然防止を図ることである。
なぜならば、警察の使命は住民の生命・財産・自由を守ることにあり、犯罪の発生自体を抑止することが求められるからだ。
具体的には、犯罪の多発する時間帯や地域において重点的にパトロールを行う。
不審者に対する職務質問や危険な場所の把握に努め、犯罪の発生を未然に防ぐことが重要である。
一方、地域住民に対しては、相談業務の充実化を図る。
犯罪による被害の発生有無に関わらず、相談内容に応じて助言・相手方への警告・他の専門機関の教示などの対応を行い、犯罪の芽を早期に摘むことが肝要である。
第二に、起きてしまった犯罪の早期解決に努めることである。
なぜならば、犯罪が発生してしまった場合には一刻も早く犯人を逮捕することで、被害を最小限に食い止めるとともに、類似の犯罪を防ぐ必要があるからだ。
はじめに、迅速な初動捜査に努めることである。
事件発生時には素早く現場に駆け付け、犯人を現場やその周辺で逮捕する。
仮に逮捕に至らない場合でも、現場の証拠物や目撃者の証言をただちに確保することが、犯人の特定や犯罪の立証には欠かせない。
次に、適正な捜査を徹底することである。
被疑者に対する適正な取り調べや、客観的な証拠の収集、地道な裏付け捜査を行い、関連を精査したうえで事件の全容を解明する。
最後に、被害者支援の充実を図ることである。
被害者は犯罪により身体的・精神的・経済的な苦痛を受けており、苦痛が続く限り被害者にとって事件の解決は果たされない。
したがって、捜査状況の丁寧な説明や、被害者からの相談の受け付け、専門知識をもった警察職員によるカウンセリングの実施など、被害者に寄り添った対応を行い、被害者の苦痛を和らげるよう努める必要がある。
④まとめ
以上、警察は犯罪の未然防止および早期解決に係る取り組みを一層強化するべきである。
将来、私は警察官となりパトロールや交番での勤務を通じて安全・安心な社会の実現に貢献したい。
【警察官*警視庁】論文模範解答例「②ストーカー・DV」
【警察官*警視庁】論文テーマ
ストーカーやDVの被害を防止するため、警察はどのような取り組みを行う必要があるか、あなたの考えを述べなさい。
【警察官*警視庁】論文模範解答例
①定義
恋愛感情のもつれに起因してつきまとい行為等に及ぶストーカー事案や、配偶者からの暴力事案(DV)による被害が深刻化している。
近年の警察への相談件数はストーカー事案が約2万件、DV事案が約8万件と極めて高い水準にある。
②重大性
ストーカーやDVの重大性はなにか。
それは、被害者に占める女性の割合が非常に高いことである。
暴行等の危害を加えられれば、女性にとって苦痛は大きい。
加えて、常に不安や恐怖を感じて日常生活に支障をきたしたり、事件解決後も耐え難いストレスに悩み続ける等、精神的な被害に苦しむ被害者は少なくない。
ストーカーやDVの被害防止に向けて、警察は一層の取り組みを行う必要がある。
③課題
取り組みを行うにあたり、課題はなにか。
第一に、人命に関わる重大事件に発展する危険があることである。
加害者は被害者に対して強い執着心や支配意識を抱いている。
それゆえ、加害者が検挙されることを顧みず大胆な犯行に及ぶこともあり、事態が急展開して殺人・傷害等の重大事件に発展する恐れが大きい。
第二に、被害の実態がつかみづらく、潜在化しやすいことである。
つきまとい行為や暴力行為の被害があった日時、場所、状況が不明な場合がある他、加害者からの着信履歴やメール、送付物を被害者が破棄している場合がある。
加えて、DVは主に密室で行われ、目撃者がいることは稀である。
④解決策
それでは、警察はどのような取り組みを行う必要があるか。
第一に、被害者の安全確保を最優先とすることである。
なぜならば、加害者が被害者に対して強い危害意思を有している場合、突如として重大事件に発展する危険があるからだ。
被害者の意思を踏まえながら、自宅周辺のパトロール強化、加害者への指導警告、悪質性が高い場合には積極的な捜査および検挙を行うことが肝要である。
加えて、被害者の安全を確保する上で十分な体制を整備するとともに、研修やマニュアルにより専門的能力の向上を図る。
被害者に対しては、110 番緊急通報登録システムへの登録、GPS機能付き緊急通報装置の貸出しを勧奨する。
加えて、緊急時に被害者を避難させる必要がある場合、一時的な避難場所の確保を行う。
第二に、ストーカーやDVの被害防止対策に関する広報啓発活動を強化することである。
なぜならば、ストーカーやDVに関する理解不足から、被害の重要な証拠を残していなかったり、警察への相談をためらったりする被害者が多いからだ。
ウェブサイトやポスター、パンフレットを用いて被害実態、自主的な被害防止対策、相談窓口を紹介することが肝要である。
被害防止には警察への早期相談が重要であるため、被害者がためらわず相談できるよう、犯罪に該当することが必ずしも明らかではない場合でも、相談に応じ適切に対応する旨を周知する。
相談に訪れた被害者に対しては、迅速に捜査が行えるよう被害の状況を記録すること、事態が切迫した際には警察への通報や、加害者の知らない場所への一時避難により身の安全を図ることを伝える。
⑤まとめ
以上、警察は被害者の安全確保および被害防止対策の広報啓発活動に係る取り組みを一層強化するべきである。
将来、私は警察官となりストーカーやDVによる被害を防止する取り組みに貢献する所存である。
【警察官*警視庁】論文模範解答例「③飲酒運転」
【警察官*警視庁】論文テーマ
飲酒運転を撲滅するため、警察はどのような取り組みを行う必要があるか、あなたの考えを述べなさい。
【警察官*警視庁】論文模範解答例
①定義
飲酒運転による死亡事故は、厳罰化や取締り強化が成果をあげ、平成14以降大幅に減少している。
しかし、近年は減少幅が縮小し、下げ止まり傾向にある。
②重大性
飲酒運転の重大性はなにか。
それは、きわめて悪質・危険な犯罪行為であることだ。
飲酒運転の死亡事故率は、それ以外の事故と比べてはるかに高く危険である。
加えて、避けることが困難であった事故と違い、飲酒運転は故意によるものであり、悪質と言わざるを得ない。
したがって、飲酒運転を撲滅するため、警察は一層の取り組みを行う必要がある。
③課題
取り組みを行うにあたり、課題はなにか。
第一に、飲酒運転者の罪の意識が希薄であることだ。
実際、飲酒運転をした理由の多くは、「出勤のため二日酔いで運転してしまった」「時間経過により大丈夫だと思った」などである。
第二に、飲酒により正常な判断力が低下することだ。
飲酒はアルコールが脳を麻痺させ、理性的な思考を鈍らせる。
その結果、普段は良識があり交通安全に努めている人であっても、飲酒運転に及んでしまう危険がある。
④解決策
それでは、警察はどのような取り組みを行う必要があるか。
第一に、飲酒運転の取締りを強化するべきである。
まず、飲酒運転が発生しやすい場所・時間帯に、パトロールや検問を重点的に実施する。
そして、飲酒運転が疑われる場合には、運転者のみならず、車両の提供者・酒類の提供者・要求しての同乗者に対する徹底した捜査を行い、逃さず責任を追及することが重要である。
加えて、取締りに際しては、淡々と手続きを進めるのではなく、飲酒運転の重大性を理解してもらうよう丁寧に説明する必要がある。
同時に、飲酒運転の危険性や事故被害者の悲痛な声をまとめた冊子を、違反者に提供することが有用であろう。
こうした取り組みにより、「たとえ微量のアルコールであっても、飲酒運転は絶対に許されない」という規範意識を高めるのだ。
第二に、飲酒をしたら運転できないよう、対策を講じるべきである。
つまり、飲酒により判断力が低下したとしても、第三者が飲酒運転を抑制する体制を構築するのだ。
まず、企業や飲食店と連携し、「ハンドルキーパー運動」を普及促進することが挙げられる。
運動の実効性を高めるため、飲食店に対し、自動車で来店したかどうか・誰がハンドルキーパーになるのか・運転代行を利用するかどうかなど、確認事項をマニュアルとして周知する。
次に、自動車を保有する事業所において、飲酒運転対策を徹底することが重要である。
従業員の乗車前後にアルコール検知器を活用し、酒気帯びの有無を確認するよう周知する。
加えて、事業所に対して、飲酒運転対策の講習を開催することが有用であろう。
⑤まとめ
以上、警察は飲酒運転の取締り強化および飲酒運転対策に係る取り組みを一層強化するべきである。
将来、私は警察官となり、パトロールや交番での勤務を通じて飲酒運転の撲滅に貢献する所存である。
【警察官*警視庁】論文模範解答例「④自転車事故」
【警察官*警視庁】論文テーマ
自転車の交通事故を防止するため、警察はどのような取り組みを行う必要があるか、あなたの考えを述べなさい。
【警察官*警視庁】論文模範解答例
①定義
近年、自転車の交通事故による死傷者数は減少傾向にある。
しかし、交通事故全体に占める割合は依然として約2割の水準にある。
事故の相手方は自動車のほか、歩行者が大半である。
②重大性
自転車交通事故の重大性はなにか。
それは、自転車の危険性がしばしば軽視されがちなことだ。
自転車は、児童から高齢者まで誰もが手軽に乗車できる、身近な乗り物である。
しかし、道路交通法上は軽車両に分類される。
当然、歩行者と衝突すれば、歩行者は重度障害や死亡の危険がある。
したがって、自転車交通事故を防止するため、警察は一層の取り組みを行う必要がある。
③課題
取り組みを行うにあたり、課題はなにか。
第一に、自転車の法令違反が多いことだ。
実際、自転車交通事故のうち約8割において、自転車側に安全不確認や運転操作不適など法令違反が認められる。
第二に、自転車運転者の安全意識が希薄なことだ。
自転車には自動車のような免許が不要であり、自転車の交通ルールを学ぶ機会は多くない。
したがって、歩行者や運転者自身に対する安全運転の心掛けが、十分に涵養されていない。
④解決策
それでは、警察はどのような取り組みを行う必要があるか。
第一に、自転車の法令違反に対する取締りを強化するべきである。
まず、自転車交通事故の発生状況や地域住民からの要望をもとに、特に対策が必要な区域を明らかにする。
これにより、後述する取締りの実効性向上が見込めるからだ。
次に、明らかとなった区域を中心として、自転車の無灯火・二人乗り・信号無視・一時不停止などに対する指導警告を推進する。
悪質・危険な法令違反の場合は、検挙措置を講じるなど厳正に対処する必要がある。
ただし、取締りに際しては、淡々と手続きを進めるのではなく、自転車交通事故の重大性を違反者に理解してもらうよう、丁寧に説明する必要がある。
加えて、違反行為を繰り返す自転車の運転者に対しては、自転車運転者講習を活用することが有用であろう。
第二に、自転車運転者の安全意識を醸成するべきである。
まず、全国で実施している自転車安全教室の充実を図る。
自転車教室の内容として、基本的な自転車の交通ルールの周知だけでは不十分である。
ルールを守らなかった場合の罰則や交通事故発生の危険性、交通事故の加害者となった場合の責任の重大性、損害賠償責任保険への加入の必要性など、内容を充実して周知することが重要である。
自転車教室をとおして、歩行者に対する思いやりを育むことが期待される。
次に、自転車の運転者自身の交通事故被害を軽減する安全対策について、周知を強化する。
もっとも重要となるのが、ヘルメットの着用である。
子どもだけでなく全ての年齢層の自転車利用者が、ヘルメット着用の努力義務がある。
加えて、幼児を自転車に乗車させる場合は、シートベルトを着用させることが望ましい。
したがって、学校・事業所・自治体に対して、これら安全対策の周知協力を呼び掛けることが重要である。
⑤まとめ
以上、警察は自転車の法令違反取締りおよび自転車運転者の安全意識醸成に係る取り組みを一層強化するべきである。
将来、私は警察官となり、パトロールや交番での勤務を通じて自転車の交通事故防止に貢献する所存である。
【警察官*警視庁】論文模範解答例「⑤警察官に求められること」
【警察官*警視庁】論文テーマ
警察官に求められる倫理観(心構え・素質)について、あなたの考えを述べなさい。
【警察官*警視庁】論文模範解答例
①定義
警察官に求められる倫理観とは、以下に述べる「思いやりの心」と「正義感」である。
②説明その1
第一に、「困っている人々を助けたい」という思いやりの心である。
子どもや高齢者など弱い立場にある人々を、犯罪の被害から守る強い気持ちが、警察官として最大の原動力になるはずだ。
加えて、警察官には犯罪の被害者や家族と関わる機会がある。
彼らは犯罪による直接的な被害だけでなく、言いようのない恐怖や悔しさなど、精神的な苦痛を抱えている。
警察官には、被害者らの心情を察し、彼らの声に耳を傾け、自らのできる最大限の努力をする姿勢が求められよう。
一方、犯罪の加害者の存在も忘れてはならない。
罪を犯した被疑者に対しては、毅然とした対応をするとともに、なぜ犯罪に及んだのか心情を理解するよう努める必要がある。
なぜならば、警察官から一方的に叱責されるだけでは、被疑者は心を閉ざして真実を語りたくないだろうし、反省せずに再犯に及ぶ恐れもあるからだ。
したがって、犯罪行為の重大性を理解してもらうため、警察官は被疑者の人権を尊重しつつ職務にあたることが重要である。
③説明その2
第二に、「犯罪は絶対に許さない」という正義感である。
警察官は治安の番人であり、住民の安全・安心を守る責務がある。
したがって、事件発生時には素早く現場に駆け付け、犯人を現場やその周辺で逮捕する。
さらに、被疑者に対する適正な取り調べや、客観的な証拠の収集、地道な裏付け捜査を行い、関連を精査したうえで事件の全容解明を図る。
その過程で、警察官は凶悪な犯人と直接対峙せねばならないし、根気を要する捜査を積み重ねなくてはならないだろう。
したがって、悪や不正を決して許さない強い気概を持ち、職務をやり遂げることが警察官には不可欠だ。
一方、法令順守の姿勢は警察官自身にも求められる。
警察官には、職務質問や強制捜査権などの強い権限が与えられている。
そのような者が不正を働けば、警察に対する信頼は一挙に失墜することになる。
したがって、警察官は自己を厳しく律し、市民の模範となる行動を心掛けねばならない。
④まとめ
社会動向に伴い、治安情勢は変化する一面を持つ。
しかし、それに対峙する警察官が持つべき倫理観は不変的なものだ。
私は警察官となり、犯罪を許さず、市民のために奉仕する心構えを持って職務に励みたい。
【警察官*警視庁】論文模範解答例「⑥地域との協働」
【警察官*警視庁】論文テーマ
地域社会との協働による良好な治安確保に向けて、警察はどのような取り組みを行う必要があるか、あなたの考えを述べなさい。
【警察官*警視庁】論文模範解答例
①定義
地域社会との協働とは、警察・住民・事業者・学校・地方公共団体が、それぞれ防犯活動を行うとともに、皆が連携して地域社会全体の犯罪抑止機能を高め、犯罪の生じにくいまちづくりを目指すことである。
②重大性
その背景には、犯罪の複雑化・多様化の影響がある。
近年、刑法犯認知件数は減少傾向にある。
しかし、高齢者を標的とした特殊詐欺、深刻な被害につながる可能性のあるストーカー犯罪、スマートホンの普及により身近になったサイバー犯罪など、犯罪の形態が大きく変化している。
こうした犯罪に対し、警察のみで対処することは困難になりつつあるのだ。
したがって、地域社会との協働による良好な治安確保に向けて、警察は一層の取り組みを行う必要がある。
③課題
取り組みを行うにあたり、課題はなにか。
第一に、住民らの防犯意識が十分ではないことだ。
特殊詐欺などのように、最新の犯行手口を知っていれば防げる犯罪は少なくない。
ところが、それを知らず、あるいは知っていても対策を怠り、被害に遭うケースが多い。
第二に、地域コミュニティがゆるやかに衰退していることだ。
従来、町内会や自治会に代表される地域コミュニティは、防犯パトロールを行うなど、地域の犯罪抑止機能としての役割を有していた。
ところが、少子高齢化の進展や住民の価値観の変化により、町内会や自治会の連帯は低下している。
④解決策
それでは、警察はどのような取り組みを行う必要があるか。
第一に、防犯情報の周知を図り、住民が自ら防犯行動を取れるよう促すべきである。
具体的には、最新の犯行手口や被害実態、子どもへの声掛けや特殊詐欺の発生情報の発信を強化する。
同時に、住民が関心を持って防犯行動を取れるよう、具体的な防犯対策を併せて示す。
たとえば、子どもや一人暮らしの女性は防犯ブザーを携帯すること、高齢者世帯は不審な電話をブロックする通信機器を設置することが有用である。
情報発信に際しては、幅広い世代に周知するため、広報やホームページに加えて、メール・SNS・スマートホンのアプリなど、多様な手段を用いることが重要となる。
第二に、地域社会一体となった防犯対策を推進し、地域コミュニティの衰退を補完するべきである。
具体的には、警察・住民・事業者・学校・地方公共団体らが定期的に会議を開催し、地域の防犯に関する情報を共有する。
このとき、警察からは最新の犯行手口や治安状況の説明を行う。
一方、住民らからは、危険を感じる場所や不審者に関する情報の提供を受け、対応を皆で協議するのだ。
会議の内容を先述の発信手段で住民らに広く周知すると、より効果的であろう。
加えて、住民や事業者による防犯ボランティア団体に対して、警察は防犯情報の提供や合同パトロールを実施し、自主的な防犯活動を支援する。
こうした取り組みにより、住民らの連帯が深まり、犯罪に対する地域の監視機能が高まると期待される。
【警察官*警視庁】論文模範解答例「⑦志望動機」
【警察官*警視庁】論文テーマ
警察官を志す理由と抱負について、あなたの考えを述べなさい。
【警察官*警視庁】論文模範解答例
①志望理由
私が警察官を志す理由は、子どもや高齢者など弱い立場にある人々の安全・安心を守りたいからだ。
私は現在、学童クラブでボランティア活動を行っている。
学童クラブとは、両親共働きの児童らを放課後に面倒をみる場所である。
ボランティア活動を通して、次のことが分かった。
子どもは多感であり、大人が思いもよらない行動をとること。
加えて、警戒心が薄く、見知らぬ人の言葉でも信じやすいこと。
それゆえ、子どもは犯罪に巻き込まれやすい存在であると実感した。
この経験から、子どもや高齢者を犯罪の被害から守るため、警察官となり、地域の安全・安心の実現に貢献したいと考えるようになった。
②抱負
私は警察官になったら、交番に勤務する地域警察官として働きたい。
なぜなら、交番勤務の警察官は、警ら・立番・巡回連絡など、いずれも地域住民に密着した職務に従事できるからだ。
日々の警らや立番では、積極的に住民に声を掛け、住民の要望や困りごとに耳を傾ける。
巡回連絡においては、顔写真の付いた名刺を配布し、地域の安全を守る顔として住民に親しんでもらえるよう努力する。
加えて、学校と連携して防犯教室や交通安全教室を開催し、児童が自分の身を自分で守れるよう取り組みたい。
さらに、地域ぐるみで子どもや高齢者を見守るため、地域の防犯ボランティア団体の活動を支援することも重要である。
こうした活動により、犯罪の未然防止につながるだけでなく、住民との信頼関係の構築にも寄与するだろう。
住民との信頼関係は、万一事件や事故が起きた場合に、的確な情報収集や迅速な事件解決に役立つはずである。
③まとめ
学童ボランティアの活動は、根気のいる反面、金銭的な報酬は得られない。
しかし、目の前の子ども達から頼られ感謝されたときの喜びは、何にも代えられないほど大きい。
同様に、警察の職務は地道で時間の掛かることが大半だろう。
しかし、地域住民の平穏な暮らしを直接守ることができる警察の仕事のやりがいは、利益を追求する民間企業で働く以上に大きいはずだ。
私は、目の前の困っている人を、損得抜きにして助けられる仕事である警察官になりたい。