【特別区】独学で上位合格をねらう!採用試験の中身を完全解説

コラム

こんにちは!編集長です。

この記事では、特別区採用試験の仕組みを分かりやすく解説します。

特別区に合格するためには、試験の中身を正しく知り、適切な対策を立てて学習をスタートすることが絶対に重要です。

選考の流れや試験の難易度などを余すことなく解説しているので、じっくり読んでくださいね。

 

【特別区】試験日程

令和5年度の試験日程はこのとおりです。

令和5年度 特別区Ⅰ類(事務)
①告示(願書配布開始) 3月17日(金)
②申込受付 インターネット 3月17日(金)~
4月3日(月)
③1次試験(筆記試験) 4月30日(日)
④1次試験合格発表 6月23日(金)
⑤2次試験(面接試験) 7月9日(日)~
7月19日(水)の1日
⑥最終合格発表 8月3日(木)
⑦区面接 随時

それぞれの段階のポイントはこちらです。

①願書は東京23区の区役所や東京区政会館で配布されるほか、特別区人事委員会採用試験情報ホームページでPDFをダウンロードすることが可能です。
②申込受付は原則としてインターネットです。
インターネットの申込が困難な場合のみ、郵送での申込を受け付けています。
なお、郵送の場合は申込締切が短いため注意してください。
③1次試験の日時は東京都庁Ⅰ類B(一般方式・新方式)と同日です。
④1次試験合格発表は郵送のほか、特別区人事委員会採用試験情報ホームページに受験番号が掲載されます。
⑤2次試験は個別面接が1回実施されます。
1次試験合格発表の後に対策を始めては間に合わないため、筆記試験と並行して対策をしておきましょう。
⑥最終合格発表は郵送のほか、当日10:00以降に特別区人事委員会採用試験情報ホームページに受験番号が掲載されます。
⑦区面接の案内は、最終合格発表の後に各区から電話で連絡が来ます。
個別面接を実施する区や、個別面接と集団討論を実施する区があります。
最終合格をしても、区面接に合格しなければ内定は得られません。

 

【特別区】選考の流れ

選考の流れはこのとおりです。

人事委員会
管轄
1次試験
(筆記試験)
教養択一試験、専門択一試験、論文試験を実施。
全ての試験の合計得点により1次試験合格者が決定される。
2次試験
(面接試験)
個別面接1回を実施
最終合格 1次試験と2次試験の総合成績で決定される。
最終合格者は、得点の高い順に採用候補者名簿に記載される。
区役所
管轄
区に名簿提示
区から連絡
人事委員会が各区に名簿を提示し、各区から連絡が来る。
席次が高ければ第1希望区から連絡が来るが、席次次第では第2希望区以下やその他の区から連絡が来る。
区面接 原則として個別面接が1回実施されるが、区によっては集団討論を課す場合もある。
面接日程は区ごとに異なり、面接カードも区ごとに書く必要がある。
内定が出されなければ、他の区から連絡が来るのを待つことになる。
内定・採用

最終合格者は、採用候補者名簿に得点の高い順に記載されます。
願書に記載した3つの希望区をもとに、人事委員会が各区に対して得点の高い順に提示します。
採用候補者は各区からの連絡を待ちます。

例年、最終合格の順位が3桁以内の人は、第1希望区から連絡が来ることが多いです。
4桁以上の人は第2希望区以下やその他の区から連絡が来ることもあります。

その後、各区ごとに面接が行われ、各区ごとに内定が出されます。
内定が出されない場合は、再び提示が行われ、他の区から連絡が来るのを待つことになります。
状況によっては提示されず、どこの区からも採用されない場合もあります。

大半の人は、1回目の区面接で内定が出されることが多いです。
一方、翌年まで何度も区面接を受けて、ようやく内定が出される人もいます。

 

【特別区】試験科目

1次試験(筆記試験)

特別区Ⅰ類の1次試験は、教養択一試験、専門択一試験、論文試験が課されます。

教養択一試験 専門択一試験 論文試験
試験方法 48問中40問回答 55問中40問回答 2問中1問回答
試験時間 2時間 1時間30分 1時間20分

教養択一試験

教養択一試験の各科目の出題数はこちらです。

一般知能分野
全28問必須回答
数的処理 数的推理 5
判断推理 6
空間把握 4
資料解釈 4
文章理解 現代文 5
英文 4
小計 28
一般知識分野
20問中12問選択回答
人文科学 世界史 1
日本史 1
地理 1
思想 1
 自然科学 物理 2
化学 2
生物 2
地学 2
 社会科学 法律 2
政治 1
経済 1
 小計 20
合計出題数 48
合計回答数 40

一般知能分野の問題は、全28問を必ず回答しなければなりません。
苦手な人が多い数的処理は、19問と非常に大きなウェイトを占めています。

一般知識分野の問題は、全20問のうち12問を選択し回答します。
人文科学の科目は1問、自然科学の科目は2問の出題しかありません。

一般知識分野の問題は、科目ごとではなく問題ごとに回答するかどうか選択することができます。
たとえば、物理や法律は2問が出題されますが、いずれの科目も1問だけを選択できます。
解けそうな問題だけをつまみ食いできるわけです。

問題の難易度は、年度によってばらつきがありますが、おおむね基本的な問題が出題されます。
近年の平均点は22点~24点くらいと予想されています。
6割の24点は得点できるように学習をすすめましょう。

ただし、2時間の試験時間で40問を完ぺきに回答するのは不可能です。
解きやすい問題を解き、難しい問題を飛ばして得点を積み上げることが重要です。

また、出題科目が多岐にわたるため、学習する科目と捨てる科目を選ぶことが何より大切になります。

https://tokyo23-mania.com/kyouyou/

専門択一試験

専門択一試験の各科目の出題数はこちらです。

法律系 憲法 5
民法 10
行政法 5
経済系 ミクロ経済学 5
マクロ経済学 5
財政学 5
政治系 政治学 5
行政学 5
社会学 5
その他 経営学 5
合計出題数 55
合計回答数 40

全20問のうち12問を選択し、回答します。
教養択一試験と異なり、必須回答の問題はありません。

また、選んだ科目の問題をすべて回答する必要はありません。
いずれの科目も1問や2問を選択して回答することができます。

問題の難易度は、科目や問題ごとにばらつきが見られます。
特に、民法は例年難易度が高いと言われています。
また、憲法や経済学の中にも難しい問題が含まれていることもあります。

問題を選択して回答することができるので、難問には手を出さず、解ける問題を選んで確実に回答することが大切です。

また、ひとつの科目の対策に多大な時間がかかるため、全科目を学習するのはおすすめしません。
科目をしぼって対策をすすめましょう。

https://tokyo23-mania.com/senmon/

論文試験

2つの課題の中から、1つを選んで回答します。
200字程度の課題文が示され、「特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい」と問われます。

試験時間は1時間20分、字数は1,000字以上1,500字程度です。

課題のテーマは、特別区が抱える重要な社会問題から出題されます。
たとえば、「地域コミュニティの活性化」や「首都直下地震への備え」などです。

論文試験は、十分に対策をした人とそうでない人で、得点に大きな差がつきます。
次の流れで対策を進めましょう。

まずは、論文の書き方を学習します。
評価の高い論文には、決まった書き方があります。
予備校で指導する論文の書き方を真似るのが、かしこい方法です。

https://tokyo23-mania.com/kakikata/

次に、できるだけ多くの論文の模範解答を読み込みます。
模範解答を使えば、出題が予想されるテーマの知識を効率的にインプットすることが可能です。
多様なテーマについて、自分で白書や施策を調べるのは膨大な時間が掛かります。
このブログをはじめ、ちまたでは多くの模範解答が手に入りますので、積極的に活用しましょう。

https://tokyo23-mania.com/kaitou/

最後に、実際に自分自身で論文を書く練習をします。
模範解答のテーマや、特別区の過去問テーマについて論文を書くのがおすすめです。
時間の許す限り、10~20の論文を書きましょう。
1つの論文を書き終わったら、音読して校正し、家族や友人に添削してもらうと効果的です。

https://tokyo23-mania.com/kakomon/

こうした論文対策を行えば、試験本番は安心です。
自分の頭の中には、論文の書き方やテーマに関する知識、具体的な文章の素材が十分に蓄積されています。
どんなテーマが出題されても、すぐに論文の構成を考え、必要な文章を引き出して組み合わせながら、論理的な論文をスラスラと書くことができます。

論文試験は配点が非常に高いため、手を抜かずにしっかりと対策してくださいね。

2次試験(人物試験)

特別区Ⅰ類の2次試験は、個別面接試験が1回課されます。

広い会場をパーテーションで区切ったブースが用意されます。
騒がしい中で面接を受けることになるため、ハキハキと大きな声で話すことが大事です。

面接は「面接カード」をもとに進められます。
面接の冒頭で、面接カードの内容を3分間でプレゼンテーションする必要もあるため、面接カードの作成は気合を入れて取り組みましょう。

また、面接カードの志望動機の内容などに絡んで、特別区の政策に関する質問をされることが多々あります。
特別区の抱える重要課題や政策は、しっかりと押さえておきましょう。
なお、面接は「各区」ではなく「特別区人事委員会」の所管として実施されます。
したがって、自分が志望する区の施策ではなく、特別区全体についての課題や方針を述べる必要があることに注意してください。

このほか、面接カードの内容以外にも、よく聞かれる定番の質問があります。
こうした質問は、ある程度答えるべき正解が決まっています。
定番質問とその答えは、模範回答を参考にして対策するのがおすすめです。
効率化できるところは、どんどん効率化していきましょう。

区面接

最終合格すると、いよいよ各区が実施する面接を受けることになります。

最終合格発表の当日~2日後くらいまでの間に、いずれかの区役所から電話が来ます。
電話が来て初めて、どこの区面接を受けるかが分かります。

2次試験の面接と同様に個別面接を1回実施する区が多いですが、豊島区・文京区・中央区は個別面接に加えて集団討論を課しています。

区面接の電話が来てから、実際に区面接を受けるまでの期間は1週間程度しかありません。

事前に、志望区にフォーカスした志望動機や政策研究を行っておく必要があります。
また、集団討論が課される区を志望する場合は、その対策も必要です。

最終合格しても、区面接に合格しない限り内定を得ることはできません。
つまり、区面接こそが本番です。
最後まで気を抜かずに対策を進めましょう。

 

【特別区】配点

特別区人事委員会は、試験の配点を公表していません。
ですが、予備校による長年の統計的なデータ分析から、次のように配点の割合が推測されています。

教養択一試験 専門択一試験 論文試験
100点 100点 300点

ご覧のとおり、論文試験の配点が非常に高いです。
これは、他の公務員試験では見られない特徴です。

受験生の多くは、教養や専門試験の学習に力を入れて取り組みます。
ですが、それ以上に論文試験の対策をしっかりと行うことが、合格する上で何より重要です。

 

【特別区】平均点とボーダーライン

特別区人事委員会は、試験の平均点などを公表していません。
ですが、予備校による長年の統計的なデータ分析から、次のように平均点が推測されています。

教養択一試験 専門択一試験
約24点(6割) 約28点(7割)

もちろん、年度によってバラツキはあります。
模試や過去問を解くときには、上記の平均点を上回るよう意識しましょう。

また、1次試験のボーダーラインは、教養と専門試験の合計点が約24点(3割)とされています。
これは、論文試験でほぼ満点を取った場合のボーダーラインです。

したがって、やはり教養と専門試験は平均点プラスアルファ程度を目指しつつ、論文試験により重点を置いて対策をすることが効率的です。

 

【特別区】採用人数と倍率

過去10年間の採用人数と倍率はこのとおりです。

年度 1次試験 2次試験 総倍率
受験者数 合格者数 倍率 受験者数 合格者数 倍率
2023(R5) 7,668 5,955 1.3 4,595 3,013 1.5 2.0
2022(R4) 8,417 4,246 2.0 3,312 2,308 1.4 2.8
2021(R3) 9,019 4,098 2.2 3,006 1,881 1.6 3.5
2020(R2) 8,121 4,791 1.7 2,197 1,741 1.3 2.2
2019(R1) 11,501 4,244 2.7 3,219 2,032 1.6 4.3
2018(H30) 12,718 4,505 2.8 3,812 2,371 1.6 4.5
2017(H29) 12,683 4,219 3.0 3,599 2,176 1.7 5.1
2016(H28) 11,795 3,433 3.4 2,909 1,781 1.6 5.4
2015(H27) 9,712 3,263 3.0 2,972 1,739 1.7 5.1
2014(H26) 12,906 3,031 4.3 2,348 1,668 1.4 6.0

総倍率は、1次試験の倍率×2次試験の倍率を表しています。

近年、倍率は低下傾向にあります。
総倍率は2~3程度です(受験生2人~3人のうち、1人が最終合格)。
他の公務員試験に比べれば、かなり低い倍率といえます。

各区ごとの倍率はこちら。

https://tokyo23-mania.com/bairitsu/

 

【特別区】難易度

独断と偏見による、特別区の難易度はこちらです。

難易度 試験種
1 国家総合職
2 東京都
3 県庁・政令指定都市
4 国家一般職
5 倍率の高い市役所
6 特別区
7 大多数の市町村

特別区の難易度は決して高くありません。
その理由はこのとおりです。

①倍率が低い
②教養試験と専門試験が選択回答
③論文試験の配点が非常に高い
④2次試験は個別面接1回のみ
⑤高学歴の受験者は少ない(多いのはマーチ程度)

ただし、第1志望区に絶対受かりたいと考えた場合、難易度は飛躍的にアップします。
人気のある区は倍率が高く、競争相手の質も上がるからです。

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